シミ取りレーザーの種類、治療の効果と経過を解説!綺麗な素肌へ

シミ取りレーザーは、加齢や紫外線によってできたシミをピンポイントで治療できる美容医療として人気を集めています。耳にする機会が増えた一方、本当にシミが消えるのか、何回通えば良いのか、失敗や副作用がないかなど気になっている方も多いでしょう。シミ取りは、使用するレーザーの種類やシミの状態によって効果が異なるため、自分に合う治療法を見極めることが大切ですこの記事では、シミ取りレーザーの効果や種類、料金相場、注意点などを分かりやすく解説します。

アステリアクリニック院長
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目次
シミ取りレーザーとは

シミ取りレーザーとは、特殊なレーザーを照射し、シミの原因となるメラニン色素を破壊して排出を促す治療です。レーザーはシミ部分であるメラニン色素だけに反応するため、周囲の正常な皮膚を傷つけるリスクが低いとして広く採用されています。
シミによって色調が変化してしまった肌を、本来の色へと導くことを目的としており、スキンケアでは改善が難しいシミにも対応できます。
1960年にルビーレーザーが発明されて以来、シミの元であるメラニン色素にアプローチする数々のレーザーが発明されてきました。現在皮膚治療に使用されているレーザーは1980年代に開発されたものがもととなっています。2010年台になると、パルス幅がそれまでのレーザーよりもはるかに短い、ピコ秒レーザーが医療の現場で使用されるようになりました。
シミができるメカニズムと光治療の原理
紫外線や摩擦などによって肌に刺激が生じると、真皮と表皮の境界に位置しているメラノサイト(色素細胞)が活性化し、さまざまな刺激から皮膚を守るためにメラニン色素を生み出します。
通常このメラニン色素は、ターンオーバーによって徐々に排出されます。しかし加齢やホルモンバランスの乱れなどの影響を受けて代謝が落ちてくると、メラニン色素の生成にターンオーバーが追い付かなくなります。こうして排出しきれなかった色素が、シミとなって定着するのです。
医療用レーザーは、このメラニン色素に吸収される波長のレーザーを照射し、色素のみを選択的に破壊します。破壊されたメラニン色素は、肌のターンオーバーによって体外に排出され、シミが徐々に薄くなっていきます。
化粧品・外用薬によるケアとの違い
シミ対策として広く使用されている美白化粧品(市販の薬用化粧品)は、主にメラニン色素の生成を抑えるアルブチンやビタミンCなどが配合されており、シミの予防や色素沈着の進行を抑える働きがあります。
しかし、こうした美白化粧品(市販の薬用化粧品)は、既に定着した濃いシミを改善することはできません。また外用薬として医療機関で処方されるハイドロキノンには、メラニン色素の生成を阻害し、メラノサイトをも減少させる作用がありますが、やはりシミを完全に除去できるわけではありません。治療をやめると再発してしまいます。真皮層にまで沈着したメラニン色素への効果もあまりなく、効果が出るまでには数ヶ月以上かかり、肌への刺激が強いです。
一方でレーザー治療は、既存のメラニン色素を直接破壊して排出させるため、持続性が高いです。シミの状態や使用するレーザーによっては、比較的短い期間で治療が完了します。また、真皮層のメラニン色素を破壊できるレーザーもあります。
レーザー治療で除去できるシミの種類
実は一口にシミといっても、さまざまな種類があります。最も代表的なシミ(老人性色素斑)は、紫外線や加齢の影響によってできるもので、レーザーによって治療できます。メラニン色素が比較的浅い層に存在するため、1回の照射で効果があらわれることも珍しくありません。
そばかす(雀卵斑)は、遺伝的な要素が強く、顔全体や頬に散らばるように小さくできるのが特徴です。こちらも浅い層にあり、レーザー治療で薄くできます。ただし、そばかすは一度綺麗になっても時間が経過すると、また出て来てしまうことも多いため、度々治療を受けるよう推奨されることもあります。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は、20歳前後にあらわれることがあるそばかすのような灰褐色の斑点のシミです。真皮層にあるため、真皮まで届く一部のレーザーでのみ治療できます。生まれつきのあざである太田母斑も同様です。
シミと同様にお悩みの方が多いのが肝斑ですが、肝斑は一般的なレーザー治療を行うと悪化する恐れもあるため、基本的には外用薬や内服薬による治療がメインとなります。出力の弱いレーザーを繰り返し照射する「レーザートーニング」で治療するケースもあります。
シミ取りレーザーの種類と特徴
シミ取りレーザーには複数の種類があり、先述したとおり、各レーザーとシミには相性があります。代表的なシミ取りレーザーの機器は以下のとおりです。
- QスイッチYAGレーザー:深部のメラニンにまで届き、濃くはっきりしたシミに効果的
- IPL:複数の波長を含む光で広範囲を照射する。薄いシミやくすみに向いている
これらのレーザーは、シミの種類や位置、濃さ、肌質などによって使い分けられます。より効果的な治療を受けるためには、医師と相談しながら相性の良いレーザーで治療することが大切です。
QスイッチYAGレーザー
QスイッチYAGレーザーは、シミ取り治療に広く使用されるQスイッチレーザー(ナノ秒レーザー)のうち、YAGレーザーを照射できるものです。2種類の波長で照射でき、浅いシミには532nm、深層の色素沈着や真皮内のメラニン色素には1064nmが用いられます。また、近年は、Qスイッチレーザーの中でも、とくにパルス幅の短いピコ秒レーザーが用いられることも増えています。
これまでに説明してきたレーザーと同様の仕組みで、高いエネルギーを与えてメラニン色素を破壊し排出させます。波長を使い分けられるため、老人性色素斑やそばかす、後天性真皮メラノサイトーシスなどを中心として、幅広いシミに対応できます。
YAGレーザーの他にも、アレキサンドライトレーザーやルビーレーザーもシミ治療には使用されます。
照射方法はシミの範囲にピンポイントで照射するスポット照射が一般的で、1回の治療でも十分な治療効果が得られることがあります。ただし、施術後はかさぶたが自然にはがれるまで、1~3週間ほど患部を保護しなければなりません。
IPL
IPLはレーザーとは異なり、複数の波長を含んだ光を照射します。IPLを応用した光治療機器にはさまざまな種類があり、取り出す波長によって、メラニン色素に反応させて顔に広がる薄いシミやくすみなどにアプローチしたり、赤みに反応させてあから顔を改善したりすることができます。
レーザーが単一波長で特定の効果を出すのに向いている(シミ取り、赤み改善など)のに対し、IPLはさまざまな波長を含んだ光を照射し複数の悩みに対して同時に効果を発揮できます。ただし、1回の効果は一点集中型のレーザー治療に比べてマイルドなことが多いです。低出力で当てればダウンタイムも少ないため、初めて治療を受ける人や、メンテナンスとして活用されることも多いです。
仕組み | 複数波長の光を照射し、不要なメラニン色素を除去する。 |
効果的なシミ | そばかす、薄い老人性色素斑、くすみ。 |
照射方法 | 顔全体に広範囲に照射する。 |
特徴 | ダウンタイムが少ない |
副作用 | 一時的な赤み、軽い熱感、乾燥、かゆみ、痛みなど |
料金相場 | 全顔1回あたり1.5~4.5万円程度(※) |
※IPL治療の費用は部位や範囲によって変わります
シミに最適なレーザーの選び方
シミ取りレーザーを選ぶ際は、自分のシミの種類、肌質、予算、ダウンタイムをどの程度許容できるかなど、複数の要素を総合して検討しましょう。たとえば、境界がはっきりした濃いシミや真皮層にある後天性真皮メラノサイトーシスには、QスイッチYAGレーザーが適しています。
一方、顔全体に広がる薄いシミやそばかすにはIPLのように広範囲へ照射できる光治療も活用できるでしょう。敏感肌な方は、出力の強い治療を受けると炎症や色素沈着のリスクがあるため、出力の調整も必要でしょう。
ダウンタイムの有無や長さも確認が必要です。短期間で効果を求める方はレーザー、仕事などの関係で何日も肌を保護するのが難しい方はIPLを選ぶことも多いです。
予算から選ぶ場合は、施術を受けられる範囲や部位、必要となる回数、オプションの有無なども合わせて比較しましょう。レーザー治療とIPL治療は料金を単純比較することができないため、目的と合わせて考えてください。レーザー治療はスポット的に照射するため、シミの大きさや個数によって費用が変わります。一方IPL治療は範囲で費用が変わるため、顔全体に照射すれば、薄いシミの個数は関係ありません。
シミ取りレーザー治療の注意点

シミ取りレーザーは、残念ながらすべての方に適しているわけではありません。シミや肌の状態によっては施術が制限される場合があります。
シミ取りレーザー治療ができないケース
シミ取りレーザーは、多くの方にとって有効な治療法ですが、安全性を確保するために、禁忌とされる条件がいくつかあります。以下のようなケースでは、治療を受けられない場合があります。
- 妊娠中・授乳中の人
- 皮膚がんの疑いがある人
- 炎症や傷がある人
- 自己免疫疾患や重度のアトピー性皮膚炎がある人
- 抗凝固薬を服用している人
- 光線過敏症がある人
たとえば妊娠中や授乳中の方はホルモンバランスが変化しやすく、シミ取りレーザーに対して肌が敏感に反応して痛みを覚えたり、代謝が落ちていることで色素沈着を起こしたりすることがあります。
病気を悪化させたり、レーザーに強く反応してやけどやけがを負う可能性があるため、上記に当てはまる方は、基本的に施術を受けられません。
適応外となる可能性のあるケース
またシミ取りレーザーが向かないケースもあります。以下のようなケースでは、医師の判断により適応外とされる可能性があります。
- シミではなく肝斑
- 日焼け直後、強い日焼けがある
- ケロイドや肥厚性瘢痕を作りやすい体質
- 炎症後色素沈着が強く残っている部位
- 刺青・アートメイクがある(シミ取り治療とは設定などが異なる)
これらに該当する場合は、必ずしも施術を受けられないとは言えませんが、慎重になる必要があります。たとえば肝斑に刺激や摩擦を与えると、悪化する場合があります。QスイッチYAGレーザーのようなシミ取りレーザーを照射すると、改善するどころか濃くなる恐れがあるので、照射は推奨されません。
まず医師による正確な診断を受けたうえでレーザー治療が適切かどうかを慎重に判断してもらうことが重要です。
シミ取りレーザー治療の流れ
シミ取りレーザーによる治療は、一般的に次のような流れで行われます。
1:施術前 予約とカウンセリング
いきなりクリニックを訪れて施術を受けられるところはほとんどないため、Webサイトを調べてカウンセリングを予約しましょう。予約当日は医師や看護師、カウンセラーなどのカウンセリングを受けます。悩んでいるシミの種類、状態、肌質、希望する治療内容、回数などを確認し、治療法やリスク、費用について説明を受け、問題がなければ契約して初回の施術日を決めます。事前に希望をしておけば当日に施術を受けることが可能な場合が多いです。
2:施術当日 洗顔・麻酔
レーザーを邪魔しないよう、メイクや日焼け止めを完全に落とし、肌に何もついていない状態にしておきます。クリニックのパウダールームで落とせるところもありますが、一般的にはメイク落としシートで対応したり、自宅から落としていったりします。
3:施術当日 レーザー照射
医療レーザー機を用い、シミの範囲に合わせて照射されます。治療時間は範囲によって変わりますが、5~30分程度です。照射中は輪ゴムで弾かれる程度の刺激を感じることがあります。
4:施術当日 アフターケア
照射後は、やけどなどのトラブルがないか確認し、冷却したり炎症を抑える軟膏を塗ったりします。オプションがついているメニューでは、このタイミングで美容液などを塗布することが多いです。
5:施術後 経過観察と再診
1~3週間後には形成されたかさぶたが自然に剥がれ、新しい肌があらわれます。この間、肌に異常を感じた場合は、すぐにクリニックの診察を受けてください。とくに問題がなければ1ヶ月~3ヶ月後頃を目安に再診し、状態の確認や追加施術の検討をします。
シミ取りレーザー治療の効果と経過
レーザー治療後は、当日に赤みや軽度のヒリつきが見られることがあります。施術した箇所は翌日以降に薄いかさぶたが形成され、1~3週間ほどで自然に剥がれ落ちます。かさぶたの下で再生された新しい皮膚は、施術を受ける前よりもシミが薄くなります。
多くの場合、仕上がりが安定してくるのは約1ヶ月後です。肌質やシミの深さによっては、複数回の施術が必要になることもあります。1回でシミが完全に消える、施術後すぐにシミが取れるとイメージされている方もいるかもしれませんが、実際には個人差が大きく、経過観察を重ねる必要があります。
施術直後から1週間の変化と対処法
レーザー照射直後の肌は、熱で軽いやけどのような状態となります。赤みや腫れ、ヒリつきを感じることが多いですが、数時間で落ち着くのが一般的です。1~3日後には、施術を受けた部位に茶褐色の薄いかさぶたが形成され始めます。
かさぶたによって、正常な皮膚よりも濃く見えることがありますが、徐々に薄くなっていくので過度に心配する必要はありません。約1~3週間後にはかさぶたが剥がれ、薄いピンク色の新しい皮膚があらわれます。
ピンク色の皮膚は非常に敏感なため、強い摩擦や刺激を与えないよう気をつけましょう。かさぶたが剥がれ落ちるまでは、次のケアを徹底してください。
- 保護テープを貼る
- 優しい洗顔を心がける
- 紫外線対策を行う
患部を刺激から守るために、必ず保護テープを貼りましょう。クリニックによってはワセリンを塗って保護する場合もあるため、医師の指示に従ってください。洗顔する際はスクラブ入りのものを避け、泡で優しく洗います。保護テープを使わない場合は、色素沈着を防ぐために帽子や日傘などで物理的な遮光を心がけましょう。
治療後に起こりうるトラブルとその対応策
シミ取りレーザーの治療後は、適切なアフターケアを怠ると肌トラブルが起こる場合があります。
代表的なのは、赤みや腫れ、色素沈着などの一時的な反応です。これらは術後に患部を強くこすったり、かさぶたを無理に剥がしたり、紫外線を浴びたりすることが原因で生じます。多くの場合、数週間~数ヶ月で自然に回復しますが、日焼け止めや帽子の使用など、徹底したケアが重要です。
また、日焼けした状態で施術を受けたり、短期間で繰り返し施術を受けたりすると、レーザーの影響で色素細胞がダメージを受けて白斑が生じることがあります。普段のケアを徹底するのはもちろんのこと、早くシミを改善したいからといって、医師の指示を守らずにクリニックをかけもちして頻繁に治療を受けるといった行為は絶対にやめましょう。
シミ取りレーザーの料金相場
シミ取りレーザーの全国平均の相場は、1~5mm程度のシミであればおよそ1万円以下、1㎠程度で1~3万円で受けられることが多いです。通常はシミの大きさによって料金が決まります。シミが大きい場合は相場より高くなる場合もあります。美容皮膚科によって1mmあたりの料金が違うので、事前に確認しておきましょう。
費用を左右するのは、以下のような要素です。
- 使用するレーザー機器の種類
- シミの範囲や大きさ
- 診察料や麻酔代、アフターケア代を含むかどうか
回数券・セットプランでお得に受ける方法
シミ取りレーザーは、1回の施術でも効果が出ることがありますが、複数回の施術が必要になる場合もあります。初回のカウンセリングで複数回の施術が必要だとわかった場合、都度払いではなく回数券やセットプランを利用した方が費用を抑えられるでしょう。
複数のシミを一度に施術するプランだと、シミ1個あたりの料金が安くなることも多いです。シミ取りレーザーの治療をコスパよく受けたいときは、以下のポイントを覚えておきましょう。
- 含まれるサービスの内容(麻酔代・診察料など)を事前に確認する
- シミ1mmあたりの料金を確認する
- 回数券やセットプランの有無を確認する
まとめ
シミ取りレーザーは、メラニン色素に反応するレーザーによって、シミの原因であるメラニン色素を破壊する施術です。破壊されたメラニン色素が代謝によって徐々に排出されることで、シミが薄くなっていきます。
シミ取りレーザーは、使用する機械や施術方法で向いているシミの種類が変わります。自分のシミや肌質に合う施術を選ぶことが大切です。
アステリアクリニックではQスイッチレーザーよりも新しい、ピコレーザーを導入しています。従来のレーザーよりも短い時間で照射できるため、ダメージを軽減しながらメラニン色素を破壊できます。大きなシミや、濃いシミにお悩みの方は、ぜひ一度アステリアクリニックのカウンセリングまでお越しください。

アステリアクリニック院長