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美容皮膚科

ニキビ跡の治し方!種類と原因、自力で改善する方法をタイプ別に解説

ニキビ跡の治し方!種類と原因、自力で改善する方法をタイプ別に解説

ニキビ跡は「赤みタイプ」「色素沈着タイプ」「クレータータイプ」「ケロイドタイプ」の4種類に分類でき、タイプによって治し方が変わります。比較的程度の軽い「赤み」や「色素沈着」はセルフケアだけで回復することもありますが、クレーターになってしまったニキビは、セルフケアでの改善は見込めません。本記事では、ニキビ跡のタイプ別の効果的な治し方を紹介します。

このコラムの監修者
辻井 鴻
辻井 鴻
一般社団法人 美星会
アステリアクリニック院長
【医師の経歴】
2020年 北海道大学医学部卒業
2022年 北海道内の病院にて初期臨床研修を終了
2023年10月 アステリアクリニック札幌院 院長就任
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ニキビ跡の種類と特徴

ニキビの炎症によって肌がダメージを受けると、炎症がおさまった後も、赤みなどの跡が皮膚に残ることがあります。これが、いわゆるニキビ跡と呼ばれるものです。
軽度なものは自然に回復していくこともありますが、肌が大きなダメージを受けている場合は、自然治癒しないこともあります。以下ではニキビ跡の種類とその特徴について説明していきます。
【ニキビ跡の種類】

  • 赤みタイプ:ニキビの炎症によって肌に赤みが残るタイプ
  • 色素沈着タイプ:ニキビ跡が茶色いシミのようになるタイプ
  • クレーター(凹み)タイプ:肌に凹みができて、クレーターのようになるタイプ
  • ケロイドタイプ:肌が盛り上がり、ケロイド状(肥厚性瘢痕~ケロイドまで)になるタイプ

赤みタイプのニキビ跡

赤みタイプのニキビ跡は、ニキビの炎症がおさまっても、肌に赤みが残る状態のことです。医学的には「炎症後紅斑」とも呼ばれています。
炎症によりダメージを受けた肌を修復する過程で、毛細血管が新たに作られたり、拡張されたりしているので、皮膚から血管が透けて赤く見えるのです。
赤みタイプは、ニキビ跡の中では比較的軽度なものです。皮膚の細胞は一定のサイクルで生まれ変わるターンオーバーを繰り返しています。部位によっても異なりますが、ターンオーバーの周期である28日が経過すると、皮膚が生まれ変わって赤みも徐々に治っていきます。
しかし加齢や体調、ホルモンバランスの影響などで代謝が低下し、ターンオーバーが滞ったり、同じ場所でニキビを繰り返したりすると、うまく治らないことがあります。1ヶ月以上経過しているのに跡が残っている場合は、医療機関での治療も検討するとよいでしょう。

色素沈着タイプのニキビ跡

色素沈着タイプのニキビ跡では、肌に茶色や紫色のシミのような跡が残ります。ニキビによる炎症で肌がダメージを受けると色素細胞のひとつである「メラノサイト」が活性化します。メラノサイトが生成するメラニンには肌細胞を守る役目もありますが、大量に生成された場合、色素沈着が起こります。ニキビの炎症による赤みがおさまったあと、茶色いシミのような跡が確認できるなら色素沈着タイプのニキビ跡の可能性が高いです。
また、紫色の色素沈着は、皮膚内部の出血が原因です。ニキビの炎症がひどい場合、毛細血管が破壊されることで血液中のヘモグロビンが漏れ出し、それが酸化することで紫色のシミのようになります。
色素沈着タイプのニキビ跡は、赤みタイプと同様に肌のターンオーバーによる改善が見込めます。ただし、赤みタイプのニキビ跡に比べて自然治癒に時間がかかるうえに、色素沈着がきれいに消えないケースもあるので注意が必要です。

クレーター(凹み)タイプのニキビ跡

クレータータイプのニキビ跡は、ニキビによる炎症が強く、肌の真皮までダメージを受けたときにできやすいです。肌の表面の表皮は外側から「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4つで構成されていて、さらにその奥にある皮膚の層が真皮です。ニキビによるダメージが真皮にまで及んだ場合、肌の表面に凹みができて、クレーター状になることがあります。また、できたニキビを潰したり、引っ掻いたりしてもクレーター状のニキビ跡になることがあるため注意してください。
クレータータイプのニキビ跡は、自然治癒による改善が望めません。正常なターンオーバーはニキビ跡の予防にとって重要です。真皮層も新陳代謝によって生まれ変わるものの、表皮よりも厚く、赤みタイプや色素沈着タイプのニキビ跡のようにターンオーバーで改善していくことはほとんどないため、医療機関での治療が必要になります。

ケロイドタイプのニキビ跡

一般的に「ケロイド」といわれるタイプのニキビ跡は、クレータータイプと同様に、ニキビの炎症によるダメージが肌の真皮まで及んだケースです。ニキビにより傷ついた肌を自然治癒によって修復しようとする際に、コラーゲンが過剰に生成されて、肌の表面に硬く、赤みのある盛り上がりができてしまいます。
外傷を負った後に形成されることのある肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)の場合、傷跡の部分に硬く、赤みのある盛り上がりができます。一般的にはこのタイプもケロイドと呼ぶことがありますが、厳密にはケロイドとは、もともとの傷以上に傷痕が広がったもののことを指します。
「ニキビの状態がひどい場合」「適切な治療を行わなかった場合」「ニキビを潰してしまった場合」などはこうしたケロイドタイプのニキビ跡になる可能性があります。しかし、ケロイドタイプのニキビ跡の発生には、遺伝・体質的な要因も強く影響します。たとえば、家族にケロイドの症状がある人がいる場合、ケロイドタイプのニキビ跡になりやすい要因を持っていると考えられます。ケロイドタイプのニキビ跡は自然治癒が望めず、ほかの原因でケロイド状になっているケースもあるので、早めに医療機関で相談するようにしましょう。

ニキビ跡ができる原因

ニキビができても、必ずしもニキビ跡になるわけではありません。ニキビにはいくつかの種類があり、炎症を伴わない「白ニキビ」や「黒ニキビ」はニキビ跡になりづらいです。その一方で、炎症が起きている「赤ニキビ」や「黄色ニキビ」は適切にケアしなければ、ニキビ跡になりやすいので注意しましょう。ニキビができた際に、赤みなどの跡が残るのには以下のような原因が関係しています。
【ニキビ跡ができる原因】

  • 炎症によるダメージ
  • 紫外線
  • 不適切なニキビケア
  • 肌質や体質

ニキビ跡の原因を知ることは、症状を悪化させないという観点で非常に重要です。ニキビ跡を予防するためにも、どのような原因でニキビ跡ができるのかを理解しましょう。

炎症によるダメージ

赤ニキビや黄ニキビはアクネ菌が過剰に繁殖して、炎症を起こして赤く腫れている状態です。ニキビ自体の炎症がおさまっても、しばらくは赤みが肌に残ることもあり、赤みタイプのニキビ跡はこの炎症によるダメージが原因になります。
赤みタイプのニキビ跡は主に肌の表皮層への影響であるため、ターンオーバーによる改善が見込めます。しかし、ニキビを繰り返して、炎症の期間が長期にわたると、肌への影響が深刻になり、表皮の奥の真皮がダメージを受けることもあります。その場合、色素沈着やクレータータイプのニキビ跡になるリスクが高まるので注意してください。

紫外線

メラニンは紫外線から肌を守ってくれるものでもありますが、紫外線を浴びすぎると過剰にメラニンが生成されて、色素沈着を引き起こします。また、紫外線は肌のバリア機能を低下させます。バリア機能の低下した皮膚からは水分が失われやすく、乾燥を防ぐために皮脂が過剰に分泌され、結果としてニキビのできやすい状態になります。過剰な皮脂は毛穴が詰まる原因になり、ニキビやニキビ跡を悪化させるので注意しましょう。
加えて、紫外線は肌のターンオーバーの周期を乱す原因にもなります。日焼けした肌、多くの紫外線を受けた肌は、赤みや色素沈着タイプのニキビ跡の治癒が遅くなるので、日常からしっかりと対策してください。

不適切なニキビケア

ニキビが気になり、潰したり、何度も洗顔したりするのも、ニキビ跡を悪化させる原因のひとつです。前述のとおり、ニキビを潰すと肌に大きなダメージを与えるため、クレータータイプなどの自然治癒が難しいニキビ跡になりやすいです。
また、肌のてかりやべたつきが気になるからといって、洗顔による皮脂の落としすぎも良くありません。本来必要な皮脂まで洗顔で落としてしまうと、水分の蒸発を防ぐために過剰な皮脂が分泌されてしまいます。「1日に3度以上洗顔する」「洗浄力の強すぎる洗顔料を使用する」「クリームや乳液、ジェルなどの保湿剤をまったく使わない」などは間違ったケアの方法です。ニキビを悪化させずに、ニキビ跡にしないためには、肌を清潔に保ち、しっかりと保湿ケアすることがポイントです。

肌質や体質

「ニキビができやすい」「ニキビ跡になりやすい」というのには、生まれ持った肌質・体質も関係しています。たとえば、過剰に皮脂が分泌される「脂性肌」は、ニキビの原因になるアクネ菌が繁殖しやすいです。ニキビの炎症が長引くことで、ニキビ跡にもなりやすいので、顔の皮脂の分泌が多い人は注意しましょう。
また、肌のバリア機能が低下しやすい「乾燥肌」、額や鼻などのTゾーンは皮脂が多いのに対して、頬などのUゾーンは乾燥しがちな「混合肌」の人も油断できません。乾燥している部位にできるニキビは跡になりやすい傾向があるため、肌質にあわせたケアを行うようにしましょう。
加えて、ケロイドタイプのニキビ跡には遺伝的要因も関係しています。「あご下」「口周り」はケロイドになりやすい好発部位です。家族にケロイドの既往歴がある場合、ニキビによる炎症が長引くとケロイドになりやすい体質である可能性が高いと考えられます。

自力でニキビ跡を治す方法

ニキビ跡のタイプ別に自宅でできるセルフケアの方法を紹介していきます。ニキビ跡をすぐに治すのは難しいですが、比較的軽度なものはセルフケアでも改善していけます。その一方で、セルフケアには限界があり、肌の状態によっては医療機関での治療も検討すべきです。自宅でのセルフケアを行いつつ、必要に応じてニキビ跡のタイプにあわせて治療を受けると良いでしょう。

赤みタイプのニキビ跡の治し方

比較的症状の軽い赤みタイプのニキビ跡は、ニキビの腫れを抑える抗炎症作用のある成分を含むスキンケアアイテムが効果的です。化粧水や保湿剤は、グリチルリチン酸ジカリウムやトラネキサム酸などの抗炎症作用を含むものが良いでしょう。
乾燥は肌のバリア機能を低下させ、ニキビも悪化しやすくなります。洗顔後の保湿をしっかりと行って、ニキビの悪化を防ぎましょう。また、肌の乾燥が気になるときは、セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンなどの高保湿成分も有効です。化粧水のみでは肌から水分が蒸発するので、油分を含むクリームや乳液などで保湿してください。

色素沈着タイプのニキビ跡の治し方

色素沈着タイプのニキビ跡には、美白有効成分を含むスキンケアアイテムがおすすめです。シミを薄くする美白効果のある成分としては「ビタミンC誘導体」「アルブチン」「トラネキサム酸」などが挙げられます。美白有効成分は、厚生労働省によって「メラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐ効果がある」と認められた成分です。色素沈着タイプのニキビ跡のケアを市販品で行うときは、美白有効成分の配合されたスキンケアアイテムを選んでください。

クレーター(凹み)タイプのニキビ跡の治し方

保湿をしっかりと行うことで、ファンデーションでクレータータイプのニキビ跡を目立ちにくくすることは可能です。しかし、セルフケアのみで肌の凹みを回復させることはできません。市販品で改善が期待できる赤みや色素沈着タイプのニキビ跡と違って、クレータータイプのニキビ跡の場合、セルフケアでの改善は難しいと思ってください。もしクレータータイプのニキビ跡に悩んでいるなら、医療機関での治療も検討しましょう。

ケロイドタイプのニキビ跡の治し方

ケロイドタイプのニキビ跡の場合、基本的に自然には治りません。クレータータイプのニキビ跡と同様に肌の深くにダメージを受けているため、セルフケアによる効果は薄いです。皮膚科での治療法については後述しますが、ケロイドの症状が認められる場合、保険適用で治療を受けられるケースもあります。ケロイドタイプのニキビ跡の治療は、医療機関で相談しましょう。

ニキビ跡が気になるときに押さえておきたい成分と選び方

ニキビ跡の状態によっては自宅でのセルフケアで一定の改善が見込めます。化粧水や保湿剤、美容液などの化粧品を選ぶ際は、以下のような成分の有無をチェックしましょう。
ニキビ跡が気になるときに押さえておきたい成分

効果が期待できるニキビ跡の種類ニキビ跡に効果的な成分
成分の特徴
赤みタイプのニキビ跡ビタミンC誘導体ビタミンCを安定化させることで、化粧品に配合しやすくしたものです。通常のビタミンCよりも酸化しづらく、皮膚に吸収されやすいのも特徴です。
グリチルリチン酸ジカリウム甘草という植物から抽出したグリチルリチン酸をカリウムと結合させて水に溶けやすくした成分です。抗炎症作用や抗アレルギー作用があり、ニキビや肌荒れに有効だとされています。
赤み・色素沈着タイプのニキビ跡トラネキサム酸人工的に合成されたアミノ酸で、炎症を抑える効果があります。また、美白効果もあり、赤みだけでなく、色素沈着にも有効です。
色素沈着タイプのニキビ跡アルブチン植物に含まれる美白効果のある成分です。メラニンの生成を抑えるため、色素沈着などに効果があります。また、低刺激で敏感肌にも向いています。
AHAアルファヒドロキシ酸の略称です。リンゴ酸などの「フルーツ酸」の総称で、ピーリング効果のある天然由来の成分です。肌を柔らかくすることで、古い角質を剥がれやすくして、ターンオーバーを促します。
レチノールビタミンAの一種で、ターンオーバーを促進する働きがあります。メラニンを排出する作用により色素沈着タイプのニキビ跡のほか、シワの改善や毛穴を目立たなくさせる効果もあります。

ニキビ跡に効果的な食事と生活習慣

ニキビ跡の改善には、ビタミンB群やビタミンCを多く含む食品を摂るようにしましょう。ビタミンB群には皮脂量をコントロールする効果、肌のターンオーバーを促進する効果があり、豚肉や鳥の胸肉・ささみ、レバー、ソーセージ、卵、納豆、たらこなどに多く含まれています。
また、ビタミンCには抗酸化作用があり、ニキビをできにくくし、コラーゲンの生成を促すことで肌の再生をサポートしてくれます。ビタミンCはキウイフルーツやイチゴなどの果物、パプリカやブロッコリーなどの野菜、ジャガイモなどに多く含まれています。
肌の回復を促進するためには、バランスの取れた食事に加えて、質の良い睡眠や適度な運動、規則的な生活なども重要です。ニキビの改善、ニキビ跡の予防に必要なことなので、毎日の食事や生活習慣も見直しましょう。

美容皮膚科で受けられるニキビ跡治療

赤みや色素沈着タイプのニキビ跡の場合、自然治癒により徐々に改善していくことも可能ですが、どうしても時間はかかります。また、ニキビ跡の状態によってはセルフケアだけで改善するのが難しいです。そのため、ニキビ跡に悩んでいるなら美容皮膚科での治療も選択肢に入れてください。
ニキビ跡の種類によって、効果的な治療法は変わってきます。美容皮膚科で受けられるニキビ跡の治療には以下のようなものがあります。症状に応じて複数の治療を組み合わせるケースもあるため、具体的な治療法については専門医に相談しましょう。
【皮膚科で受けられるニキビ跡治療】

  • 色素レーザー
  • LED治療
  • イオン導入
  • エレクトロポレーション
  • ケミカルピーリング
  • フラクショナルレーザー
  • ポテンツァ
  • ケロイド注射

赤みタイプのニキビ跡に効果的な医療治療

赤みタイプのニキビ跡の治療には「色素レーザー」が有効です。色素レーザーは肌の赤みに反応し、赤みタイプのニキビ跡の原因となる拡張された毛細血管を目立たなくする効果が期待できます。通常、色素レーザーによる治療は3回〜5回程度必要で、施術にはわずかな痛みも伴います。ダウンタイム時に内出血や腫れが起こることもありますが、時間経過とともに症状はおさまっていきます。
また、赤みタイプのニキビ跡には、肌の炎症を抑えて、ターンオーバーを促す「LED治療」や有効成分を肌に浸透させる「イオン導入」や「エレクトロポレーション」なども用いられます。LED治療やイオン導入も複数回の施術で効果を実感することが多いですが、痛みやダウンタイムはほとんどありません。

色素沈着タイプのニキビ跡に効果的な医療治療

色素沈着タイプのニキビ跡にも「イオン導入」や「エレクトロポレーション」が有効です。また、肌の再生を促進させる「ケミカルピーリング」なども効果的とされています。
イオン導入やエレクトロポレーションでは美白作用のあるビタミンC誘導体などを肌の深部に浸透させます。イオン導入は微弱電流を用いるのに対して、エレクトロポレーションでは特殊な電気パルスでより高い浸透率で美容成分を肌の深部に届けます。どちらも痛み・ダウンタイムはほとんどありません。
一方、ケミカルピーリングは特殊な薬剤で肌表面の古い角質層を剥がれやすくする治療です。医療機関の場合、薬剤の濃度や種類を調整できて、市販のピーリング剤よりも高い効果が期待できます。施術回数は肌の状態によって異なりますが、月に1〜2回のペースで、計5回〜10回程度で治療を行っていくことになります。ケミカルピーリングに大きなダウンタイムはありません。ただし、施術時にピリピリとした痛みを感じる場合、施術後数日は赤みや乾燥などの症状が出る場合もあります。

クレーター(凹み)タイプのニキビ跡に効果的な医療治療

肌に凹みのできるクレータータイプのニキビ跡の治療には、「ポテンツァ」「ダーマペン」「フラクショナルレーザー」などが用いられます。ポテンツァは微細な針と高周波を組み合わせた治療で、肌の再生力を高めることでニキビ跡を改善していきます。
微細な針のみを使用するダーマペンに比べて、ポテンツァはより少ない治療回数で効果が期待できます。針の先端から出る高周波により止血しながら施術できるため、ダーマペンより痛みが小さく、ダウンタイムも比較的短いのが特徴です。
フラクショナルレーザーは、レーザーにより肌に小さな傷をつけることで、皮膚の再生を促進する治療法です。肌の状態によっても治療回数は変わってきますが、基本的には5〜10回程度の治療が必要です。フラクショナルレーザーには小さな痛みや短いダウンタイムがあるものの、クレータータイプのニキビ跡にも効果的な治療です。

ケロイドタイプのニキビ跡に効果的な医療治療

ケロイドタイプのニキビ跡には「ケロイド注射」が効果的です。ニキビを原因とするケロイドやしこりのできた部位に薬剤を直接注射する治療法で、薬剤が皮膚の盛り上がり組織の増殖を抑えることで、ケロイドタイプのニキビ跡を目立たなくします。
ケロイド体質によるニキビ跡と診断された場合、治療に保険が適用されるケースもあります。治療法や症状などによっても変わってくるので、まずは皮膚科で相談してください。

治療費の相場と保険適用について

ニキビ跡の治療にかかる費用は、治療法や回数、施術範囲、オプションの有無などによって変わってきます。治療法ごとの費用の相場をまとめました。
ニキビ跡の治療費の相場

色素レーザー1回あたり30,000円〜50,000円程度
LED治療1回あたり5,000円程度
イオン導入1回あたり5,000円〜10,000円程度
エレクトロポレーション1回あたり 50,000円〜20,000円程度
ケミカルピーリング1回あたり5,000円〜10,000円程度
ポテンツァ1回あたり40,000円〜100,000円程度
ダーマペン1回あたり10,000円〜50,000円程度
フラクショナルレーザー1回あたり10,000円〜100,000円程度
ケロイド注射1回あたり5,000円程度

ニキビ跡の治療は見た目の改善が目的の美容医療になるため、基本的に保険適用外になります。ただし、内服薬やビタミン剤、塗り薬などのできているニキビの治療には保険が適用されることが多いですし、ケロイド体質による症状であれば保険適用の治療になることもあります。

医療治療を受ける際の注意点とタイミング

ニキビは早期に適切な治療を行えば、跡になりにくいです。赤みや色素沈着タイプのニキビ跡は自然治癒による一定の改善が見込めますが、どうしても時間がかかりますし、なかなかきれいにならないケースもあります。より効果的にニキビ跡を改善していくためには、早めに医療機関で治療を受けましょう。皮膚科や美容クリニックなどの医療機関であれば自然治癒が難しいクレータータイプやケロイドタイプのニキビ跡も治療可能です。
医療機関でのニキビ跡の治療はセルフケアよりも費用がかかりやすく、施術に痛みやダウンタイムが伴うものもあります。治療を受ける際はカウンセリングで費用や施術後の注意点をしっかりと確認するようにしましょう。

ニキビ跡を予防するポイント

ニキビ跡を予防するポイントは以下の4つです。

  • 紫外線対策を徹底する
  • 日々のスキンケアを意識する
  • 生活習慣を見直す
  • 皮膚のターンオーバーを正常に保つ

ニキビ跡を予防するためには「ニキビを作らないこと」と「ニキビができたときに適切なケアを行うこと」が重要です。肌質や年齢などによりニキビができやすいこともありますが、毎日のケアや生活習慣を見直すことでニキビの悪化は防げます。また、ニキビができてしまっても、早い段階で適切にケアすれば跡にはなりづらいです。
ニキビを繰り返す場合やすでに跡になっている場合は医療機関での相談をおすすめしますが、まずは自宅でのケア方法や生活習慣を見直しましょう。

紫外線対策を徹底する

紫外線はニキビを悪化させるだけでなく、炎症のおさまったニキビが色素沈着タイプのニキビ跡になるリスクも高めるため、紫外線対策を徹底しましょう。屋外に出るときは「日焼け止めを塗る」「日傘や帽子を使用する」などで、肌を紫外線から守ってください。
日焼け止めは時間が経過すると効果が薄れるので、汗をかいていなくても、2時間〜3時間ほどで塗り直すと良いです。加えて、塗り方にむらがある場合、薄く塗った箇所は紫外線の影響を受けやすくなり、厚く塗った箇所は毛穴が詰まりやすくなります。日焼け止めを効果的に使うためには、できるだけ均一に塗るようにしましょう。また、ニキビができやすい場合は、ニキビになりにくいように設計されている「ノンコメドジェニック」の日焼け止めがおすすめです。

日々のスキンケアを意識する

ニキビ跡の予防には日々のスキンケアが大切です。たとえば、過剰な皮脂はニキビの原因となるアクネ菌を繁殖させるため、朝晩の2回の洗顔で皮膚の汚れをしっかりと落としましょう。ただし、肌への摩擦や過度な洗浄力は、ニキビを悪化させます。洗顔料は低刺激なものを選んで、水やぬるま湯でしっかりと洗い流してください。顔を洗ったら、清潔なタオルで優しく水分を拭き取ります。
また、ニキビやニキビ跡を悪化させないためには、肌の保湿も重要です。乾燥した肌は外部からの刺激に対して敏感になりますし、水分を逃さないように皮脂が過剰に分泌されます。洗顔後は化粧水で肌に水分を補給するとともに、クリームなどの保湿剤で油分を補いましょう。スキンケアアイテムに含まれる油分が気になる場合は、比較的油分の少ない乳液やジェルがおすすめです。

生活習慣を見直す

偏った食事や睡眠不足、ストレスなども肌荒れを引き起こします。生活習慣が乱れている場合は、ニキビが治りづらく、炎症が続くことで跡にもなりやすいです。食事では皮脂の分泌に関係するビタミンB群、肌の再生をサポートするビタミンC、皮膚の材料になるタンパク質、ホルモンバランスをコントロールする亜鉛などの成分をしっかりと摂取しましょう。その一方で、過剰な脂質や糖質、カフェインなどの刺激物の摂りすぎは良くありません。バランス良く栄養を摂ることを意識して、不足しがちな栄養素はサプリメントで補っても良いでしょう。
また、生活のリズムが不規則だったり、ストレスを溜め込んでいたりすると、ホルモンバランスが乱れやすくなります。ホルモンバランスの乱れは、肌のターンオーバーに影響を与えます。肌の正常なターンオーバーはニキビ跡の改善に繋がるので、十分な睡眠時間を確保しつつ、適度な運動や趣味の時間でストレスを発散しましょう。

皮膚のターンオーバーを正常に保つ

繰り返しになりますが、皮膚のターンオーバーを正常に保つことは、ニキビ跡の予防に欠かせません。肌のターンオーバーが乱れる原因は「紫外線によるダメージ」「精神的なストレス」「乱れた生活習慣」「偏った食事や栄養不足」「加齢」などさまざまです。ターンオーバーのサイクルが乱れると、毛穴が詰まり、ニキビができやすくなりますし、古い角質が残ることでニキビ跡による赤みや色素沈着の改善にも時間がかかります。
皮膚のターンオーバーを正常化するためには日々のスキンケアや生活習慣の見直しに加えて、ピーリングなどによる古い角質のケアも効果的です。ただし、間違った方法での角質ケアは肌のバリア機能を弱め、ニキビ跡が悪化する原因にもなります。角質ケアを取り入れる場合は、できるだけ肌への刺激が少ない方法を選択したり、専門医のいる医療機関で治療を受けたりすると良いでしょう。

まとめ

ニキビ跡にはいくつかのタイプがあり、症状によって適した治療法は変わってきます。自宅でセルフケアを行う場合も、医療機関で治療を受ける場合も、ニキビ跡のタイプに合ったケア・治療法を選択することが大切です。
また、ニキビ跡の予防には食事や睡眠などの生活習慣、洗顔や保湿などの日々のスキンケアも重要になります。ニキビ跡を改善し、悪化させないためには、生活習慣やスキンケア方法の見直しも行いましょう。

この記事の監修者
辻井 鴻
辻井 鴻
一般社団法人 美星会
アステリアクリニック院長
【医師の経歴】
2020年 北海道大学医学部卒業
2022年 北海道内の病院にて初期臨床研修を終了
2023年10月 アステリアクリニック札幌院 院長就任