ピコトーニングとは?シミ・肝斑に効く美肌治療の特徴と効果を解説

ピコトーニングは、肝斑や気になるシミといったお肌の悩みにアプローチできる美肌治療として、多くの方に注目されています。従来のレーザー治療と比べてお肌への刺激が少なく、ダウンタイムも短いため、忙しい方や敏感肌の方にも選ばれています。
とくに、「スキンケアだけではなかなか改善しない薄いシミが気になる」「肝斑を悪化させずに治療したい」といったお悩みを持つ方にとって、ピコトーニングは心強い選択肢となるでしょう。この記事では、ピコトーニングの特徴や効果、施術回数の目安などについて詳しく解説します。

アステリアクリニック院長
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目次
ピコトーニングとは

ピコトーニングとは、ピコレーザーを使用した照射方法の一つです。ピコ秒(1兆分の1秒)というごく短い照射時間で低出力のレーザーを均一に照射し、シミや肝斑、くすみなどの色素沈着を改善します。
ピコレーザーは熱を与えるだけの従来のナノレーザーとは異なり、光の衝撃波でメラニン色素を破砕するため、周囲への皮膚ダメージが少なく抑えられるとされています。そのため、刺激を受けると悪化する恐れがある肝斑にも対応することが可能です。
またピコトーニングはFDA(アメリカの食品医薬品局)による承認を受けている施術でもあります。
肌全体の明るさや均一感を求めているけれど、安全性も気になるという方に向いている治療といえるでしょう。
肌悩みに効く?ピコレーザーの仕組み・特徴
ピコレーザーは、皮膚内のメラニン色素に対して極めて短い時間でエネルギーを照射し、瞬間的な熱エネルギーと光の衝撃波によってメラニン色素を破砕する仕組みを持っています。
破砕されたメラニン色素は、肌のターンオーバーで排出されたり、体内のマクロファージなどの免疫細胞によって処理され、リンパ系を通じて排出されたりします。こうしてシミやくすみ、色素沈着などを徐々に改善していくのです。
顔にうっすらと広がるメラニン色素を除去できれば、肌のトーンが明るくなることによる、透明感や美白効果を期待できます。
従来のレーザーと何が違う?
ピコトーニングに使用されるピコレーザーと、従来のナノ秒レーザーには、照射時間や肌への影響に大きな違いがあります。
ナノ秒レーザーは、1ナノ秒(10億分の1秒)の間隔でエネルギーを照射しますが、ピコ秒レーザーはそれよりさらに短い1ピコ秒(1兆分の1秒)の単位で照射が行われます。この照射時間の差が、肌への熱ダメージに大きく影響するのです。
ナノ秒レーザーでは、比較的長いパルス幅により、メラニン色素を熱で焼き切るように破壊します。そのため、熱エネルギーが周囲の正常な皮膚組織にも及ぶこともあり、治療後に炎症や色素沈着が起こるリスクがあります。
一方、ピコ秒レーザーはパルス幅が非常に短いため、熱が発生する時間は瞬間的です。熱と同時に衝撃波によってメラニン色素を微細に破砕するため、すばやく破壊することができます。このためナノ秒レーザーよりも、周囲の皮膚に対する熱の影響を抑えることが可能なのです。
その結果、ナノ秒レーザーと比較すると、施術後の炎症ややけど、色素沈着などの炎症によるリスクが軽減されました。
どんな肌トラブルに効果的?適応症状一覧
ピコトーニングは、幅広い肌トラブルにアプローチできます。しかし、レーザートーニングにも向き不向きがあり、症状に合わせて施術を受けることが大切です。
では、具体的に何に効くのか、どのような効果を期待できるのか見ていきましょう。
- 肝斑:★★★★★
高出力のレーザーでは悪化するリスクがある肝斑も、低刺激なピコトーニングなら安全に対応可能です。回数を重ねるごとに徐々に薄くなります。
- くすみ:★★★★★
顔全体のトーンアップに優れており、透明感のある明るい肌へと導きます。肌全体の色ムラを均一に整えます。
- 薄いシミ:★★★★☆
濃いシミよりも薄いシミに対して効果を発揮しやすく、広い範囲に薄く拡散するシミも照射できるため、効率的に対応可能です。
- ニキビ跡:★★★★☆
炎症が落ち着いたのになかなかよくならず、赤茶に定着してしまったニキビ跡は、表皮付近の軽いものであればレーザートーニングで改善できるケースがあります。状態にもよるので、気になる場合は相談しましょう。
- 毛穴の開き:★★★☆☆
皮膚の代謝を促進し、コラーゲンやエラスチンの生成が促されることで、たるみによる毛穴の開きが目立ちにくくなります。即効性や持続性はないため、複数回の施術が必要です。
- 小じわ:★★★☆☆
肌のターンオーバーを促進し、ハリや弾力を回復させることで小じわを目立ちにくくします。毛穴同様、即効性や持続性はありません。
ピコトーニングのシミ・肝斑への効果
繰り返しになりますが、ピコトーニングは薄めのシミや肝斑に対して相性の良い治療です。薄いシミに対しては、熱と衝撃波でメラニン色素を破砕し、体外への排出を促すことで徐々に薄くしていきます。
一方、肝斑は刺激に敏感なため、低出力で均一に照射し、過剰なメラニン色素が生成されるのを抑えながらゆっくりと改善していきます。効果があらわれるまでの回数には個人差がありますが、目安は以下のとおりです。
- 薄くなってきたと実感できる回数:約3~4回
- 薄くなってきたのをしっかり実感できる回数:約5~10回
シミ・肝斑への効果
ピコトーニングは、さまざまな色調のシミや肝斑に対して柔軟に対応できる治療法です。薄いシミには低出力のピコレーザーによって肌全体をトーンアップさせることで、色ムラを目立たなくし、自然な明るさを取り戻す効果が期待できます。
一方で濃いシミに対してはピコトーニングでは反応が乏しい場合があり、症状に応じてピコスポットなどの集中的な治療を行うこともあります。
老人性色素斑(加齢によるシミ)は、比較的濃く輪郭がはっきりしているため、ピコトーニング単体では完全な除去が難しいこともあります。それほど濃くないシミであれば、肌全体の明度を上げて目立ちにくくすることが可能です。
そばかす(雀卵斑)は、広く薄く顔に現れていることが多いため、ピコトーニングのように広範囲へ均一にアプローチすることで薄くすることができます。
肝斑はそばかすに似ていますが、メラニン色素を産生する細胞が刺激に敏感になっているため、なるべく刺激を与えず、低刺激なピコトーニングを複数回重ねることで、徐々に薄くしていくことになります。
治療を止めたからといって肝斑が元の状態に戻ることはありませんが、メラノサイトの状態が正常になったわけではないので、引き続き刺激を与えないよう気をつけて生活する必要があるでしょう。
効果が出るまでの期間と必要な施術回数
ピコトーニングの効果が出るまでには、5~10回程度の施術が必要になります。症状にもよりますが、最初の5回は3週間ごと、6回目以降は1ヶ月ごとのことが多く、最初は間隔を空けすぎないようにして施術を受けます。
仮に10回の施術を受ける場合、上記の間隔を参考にすると治療がある程度終わるまでに9ヶ月ほどかかる計算になります。
ただし、ここで紹介した施術回数と期間はあくまでも目安です。メラニン色素が濃い方やターンオーバーが遅い方では、より多くの回数が必要になることがあります。逆に、薄いシミやくすみの改善を目的としている方は、少ない回数で満足のいく結果を得られることもあるでしょう。
ピコレーザー機種の比較と選び方
ピコレーザーには、以下のような機種があります。
機種名 | 主な波長 | 特徴 |
---|---|---|
ピコシュア | 755nm | 世界初のピコレーザー機器。3つの中では一番メラニン色素とよく反応する。 |
ピコウェイ | 532nm、730nm、1064nm | 照射速度が一番速く、周囲の組織にダメージを与えにくい。 |
エンライトン | 532nm、1064nm | ナノ秒単位のパルス幅でも照射できる。 |
機種選びのポイントは、以下の点も参考にしましょう。
- 自身の肌悩み(肝斑、シミ、毛穴など)に合った波長を持つか
- 色素の深さに対応できるか
- シミやくすみの改善による美白以外の効果も求めるか
主要3機種「ピコシュア」「ピコウェイ」「エンライトン」の違い
ピコレーザーの主要な機種であるピコシュア、ピコウェイ、エンライトンには、次のような違いがあります。
波長 | パルス幅 | 承認状況 | メーカー | |
---|---|---|---|---|
ピコシュア | 755nm | 550~750ps | FDA、厚生労働省承認 | サイノシュアー株式会社 |
ピコウェイ | 532nm、730nm、1064nm | 246ps、294ps、339ps | FDA、厚生労働省承認 | シネロン・キャンデラ株式会社 |
エンライトン | 532nm、1064nm | 750ps | FDA、厚生労働省承認 | キュテラ株式会社 |
パルス幅が短いピコウェイは、素早くメラニン色素を破壊するため、このなかでもよりダメージを抑えたつくりになっています。一方、ピコシュアは750nm単一波長で浅い位置にあるメラニン色素に強く作用します。
エンライトンは、532nmと1064nmに対応しているのに加えて、ナノ秒とピコ秒の併用が可能であり、用途に応じた柔軟な治療ができます。いずれの機種も国内のさまざまなクリニックに導入されている機械です。
肌悩み別!機種の選択ポイント
ピコレーザーの主な3つの機器はいずれも厚生労働省の承認を得た、安全性にも配慮されたよい機械です。治療したい症状や個人の肌質などにもよるため、機械の性能と肌悩みだけで判断するのではなく、カウンセリングなどで自分の症状との相性を確認することが大切です。
ピコシュアは755nmの波長による照射が主ですが、メラニン色素によく反応します。刺激を抑えてメラニン色素にアプローチできることから、敏感肌の方でも対応できる可能性が高い機械です。刺激が気になるのであれば、パルス幅の短いピコウェイも選択肢となるでしょう。
とくにピコウェイやエライトンによるトーニングは1064nmの波長を使用することも多く、肌の深い層に沈着したメラニン色素にも届きやすい可能性があります。また、深部まで届く波長を使用することで、皮膚に刺激を加え肌のリジュビネーション(若返り)効果やハリ感のアップなども期待できます。これらの機器であれば、毛穴の開きやニキビ跡のように、再生能力を促したり肌の深いところへアプローチしたりする必要があるお悩みにも対応できる場合があります。
ピコトーニング治療の流れ
ピコトーニングの治療は、主に次の流れで行われます。
1:施術前 カウンセリング・診察
医師やスタッフとのカウンセリングを通じて、肌悩みや治療希望を伝えます。医師がシミ、肝斑の有無や肌質を診断し、ピコトーニングが適切かどうかを判断します。回数や費用などに問題がなければ契約し、施術を受ける日を予約します。
2:施術当日 洗顔・クレンジング
レーザーを均一に照射するためには、肌を清潔にしておくことが重要です。施術前にメイクや皮脂、汚れを落とすために洗顔・クレンジングを行います。
3:施術当日 レーザー照射
ピコレーザーを低出力で顔全体や、頬などに照射します。施術時間は約15~30分です。輪ゴムで弾かれるような軽い刺激を感じることがありますが、強い痛みはほとんどありません。
4:施術当日 アフターカウンセリング
施術直後の肌の状態を確認し、医師や看護師から日常生活の注意点などが説明されます。万が一肌に違和感があれば、ここで相談しましょう。
5:施術後 帰宅・アフターケアの継続
ダウンタイムはほとんどないため、多くの人は気にすることなく過ごせるでしょう。施術後のデリケートな肌を守るため、乾燥しないよう保湿し、紫外線や摩擦に気をつけてください。
ダウンタイムと副作用

ピコトーニングは、ダウンタイムがほとんどないといわれていますが、副作用がまったく起こらないわけではありません。一般的な副作用には次のものがあります。
- 赤み・かゆみ
- 肌の乾燥
- 湿疹
- 白斑
- 誤ったケアや施術によるシミ・肝斑の悪化
- ニキビ・吹き出物
これらの多くの症状は、数時間から数日で自然に改善することが多いです。白斑は回数を重ねると出てくることがあり、なかなか改善しないこともあるため、肌の状態を見ながら施術を受けることも大切です。また、シミや肝斑の悪化は、適切な保湿や紫外線などの刺激対策をすることでリスクを軽減できます。
施術後の過ごし方・肌変化への対処法
ピコトーニングはダウンタイムが少ない施術とされていますが、施術直後は先に挙げたような肌の変化があらわれることがあります。
たとえば顔全体に軽い赤みやほてりが出たり、数日間にわたって乾燥やつっぱり感が出たりする場合があります。これらは一時的な反応であり、通常は数時間から数日程度で自然に落ち着くため、過度に心配する必要はありません。
こうした肌の変化が起きたときは、保湿ケアの徹底がとくに重要です。化粧水や乳液などの保湿アイテムを使って肌に十分なうるおいを与え、乾燥によるバリア機能の低下を防ぎましょう。
肌に余計な摩擦や刺激を与えないように過ごしてください。刺激の強いスキンケアは避け、外出時は必ず日焼け止めを使用し、帽子や日傘などで物理的に紫外線を防ぐように工夫しましょう。洗顔時もこすらず優しく洗うことが大切です。
稀なトラブルケースと予防のための注意点
いくら刺激を抑えたつくりといえど、ピコトーニングもレーザーを照射する施術であることに変わりはありません。施術直後はバリア機能が一時的に弱まっており、外部からの刺激に敏感な状態となっています。
この状態でケアを誤ると、稀に肌トラブルが生じることがあります。
たとえば、施術直後に肌を強くこすったり日焼けをしたりすると、炎症や色素沈着が発生するケースがあります。こうした症状はピコレーザーの副作用というより、患者側のアフターケア不足や不注意によって引き起こされることも往々にしてあります。
日常生活での摩擦・乾燥・紫外線などの刺激や、思わぬ肌トラブルを防ぐために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 施術当日はメイクをするとき、洗顔をするときも肌をこすらないようにする
- 強い紫外線に当たらないように日傘や帽子を活用する
- 施術前後は日焼け止めを使用し続ける
- 十分な保湿を行い、乾燥を防ぐ
- 入浴・飲酒・激しい運動など体温上昇を伴う行動を避ける
ピコトーニングの料金相場
ピコトーニングの全国平均料金は、1回あたり約15,000円です。複数回の施術が必要になることが多いため、総額では10万円前後になる場合もあります。
地域別に見ると、東京都では1回約20,000円とやや高めの設定が多く、地方都市では相場と同じかやや安い傾向にありました。費用に影響する要素は以下のとおりです。
- 使用機種の種類
- 施術範囲
- クリニックの立地
- 医師による施術か看護師による施術か
- 回数券やセットプランの有無
回数券・セットプランでお得に受ける方法
ピコトーニングは1回の施術で完了するものではなく、5~10回程度の施術が必要です。そのため、もしメニューにあるなら回数券やセットプランを活用することでコストを抑えられます。
セットを活用すれば、都度払って同じ回数の施術を受けるよりも10%程度安くなることさえあります。長期的に治療を受けると考えると、費用に大きな差が出るので、うまく活用するとよいでしょう。
プラン内容はクリニックによって異なり、顔全体に照射するものもあれば頬や首だけに照射するものもあります。
施術範囲が広くなるほど料金も高くなるため、自分の症状に合わせてプランを選ぶことが大切です。必要な回数を考慮し、契約する回数は医師とよく相談して検討しましょう。
まとめ
ピコトーニングとは、ピコレーザーのうち低出力なレーザーを照射する方法です。ピコ秒でレーザーを照射して、シミなどの原因であるメラニン色素を破壊し、改善へ導きます。比較的少ない刺激で治療できるため、刺激によって悪化する可能性がある肝斑の治療にも向いています。
ピコレーザーの機種には、主にピコシュア、ピコウェイ、エンライトンの3種類があります。それぞれ得意とする治療が異なるため、自分の症状に合う機種を取り扱っているクリニックを選びましょう。
アステリアクリニックでは、初めてトーニングを検討している方でも安心できるよう、丁寧なカウンセリングを心がけています。顔全体のくすみや肝斑が気になる方、薄いシミが点在しており一度に治療したい方などは、ぜひアステリアクリニックまでご相談ください。

アステリアクリニック院長