医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は痩せない?原因やリスクを紹介
GLP-1ダイエットをはじめとする医療ダイエットは、「我慢せず痩せられる」としばしば話題になります。一方で「思ったほど痩せない」という声もあります。どうせなら効果があるダイエットをしたいと思う人がほとんどでしょう。今回は、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)で痩せない原因を詳しく解説します。医療ダイエット(GLP-1ダイエット)におけるデメリットや、向いていない人の特徴も紹介しているので参考にしてください。
アステリアクリニック院長
当院の医療ダイエットをご紹介
目次
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)とは何か
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)とは、GLP-1受容体作動薬を用いて行うダイエットのことです。
GLP-1受容体作動薬は、もともと2型糖尿病の治療に使用されてきた薬です。しかし食欲抑制作用があるため、ダイエットにも用いられるようになりました。2023年3月には、肥満症治療薬としてウゴービが承認されています。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)のはたらきは?
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)には、次のようなはたらきがあります。
- 血糖上昇時にインスリンの分泌を促す
- グルカゴンの分泌を抑制する
- 食欲中枢に作用して食欲を抑える
- 胃の内容物を排出するスピードを遅らせる
血糖上昇時にインスリン分泌を増やすため、肥満につながりやすい食後の血糖値の急上昇を抑制します。また、胃の内容物が排出される速度が遅くなるため、満腹感が持続しやすいのも、食欲を抑えることにつながります。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の3つの特徴
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)には、次の3つの特徴があります。
- 過度な食事制限が不要になる
- ダイエットを継続しやすい
- リバウンドしにくい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
過度な食事制限が不要になる
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)なら、食事制限をしようとしなくても食事の量や間食の頻度を減らせます。
自分で行うダイエットは、過剰なカロリーを摂取しないよう自制心によって管理しなければなりません。習慣として定着してしまった間食や、ストレスによる食欲増加は、自力で制御することが難しい場合もあります。
しかし、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行うと自然に食欲が落ちるので、無理なく食事量を減らせます。「食事量を減らそう」と意気込む必要がなく、きつい思いをせずに食欲のコントロールが可能です。
継続しやすい
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は、継続しやすいことも特徴の一つです。食事制限はもちろん、きつい運動を行う必要もないため、途中で挫折してしまう可能性が低いです。
GLP-1受容体作動薬を服用、または注射するだけですので、継続のハードルとなるのは「決められた用法を守って使えるか」ということだけです。
リバウンドしにくい
通常のダイエットがリバウンドしやすいのは、食事制限やきつい運動を一時的に行うことで一気に体重を落とすことが多いためです。
急に落とした体重は、生活習慣を元に戻すとすぐリバウンドします。しかし医療ダイエット(GLP-1ダイエット)では摂取カロリーを正常な量に維持でき、時間をかけて自分に適した食事量や運動習慣に体を慣らすことが可能です。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)で痩せない原因
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は無理なく続けられるダイエットとして知られていますが、人によっては服用や注射を続けても痩せないと感じることもあるでしょう。痩せない原因にはいくつかの理由が考えられます。
食べ過ぎや偏りのある食事
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行っていても、食べ過ぎていたり偏りのある食事を続けていたりすると、痩せないことがあります。医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の成果が出ない人の多くは、食べ過ぎているケースが多いです。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は、「どれだけ食べても太らない魔法のダイエット」ではありません。「お腹が空いていないのに食事をしてしまう」といった癖を直したり、1食の献立や量を見直したりする努力は必要です。
また偏った食事をしていると血糖値が上がりやすく、脂肪が体に蓄積しやすくなります。医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行っている間も、食事内容に気を使うことが重要です。
運動不足
運動不足も医療ダイエット(GLP-1ダイエット)で痩せない原因となります。ダイエットは、摂取カロリーを抑えて消費カロリーを増やすこと、すなわち適切な食事管理と運動を行うことが基本です。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は食事管理がベースとはなりますが、痩せやすい体作りをするうえでは運動も欠かせません。運動をまったくしないとなれば、摂取カロリーを抑えるだけになるので、痩せ方もゆるやかになります。
服用方法が適切でない
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の治療薬は、適切に使用しなければ十分な効果が出ません。服用方法や注射のタイミングなどが間違っていると、痩せない可能性があります。
たとえばGLP-1受容体作動薬のリベルサスは、空腹時に服用しなければなりません。服用後30分は飲食を控える必要があります。胃に何かある状態で服用すると、吸収効率が下がって、効果が低くなるためです。
注射の場合は、週に1回投与するものと毎日投与するものがあります。このように使用方法が決まっているため、医師の指導に従い、適切に摂取することが重要です。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の効果を出す方法
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の効果を引き出すためには、GLP-1受容体作動薬をただ使用するだけでなく、生活習慣の見直しも同時に行う必要があります。
栄養バランスを考慮した食事にする
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)ではきつい食事制限や激しい運動は必要ないものの、適切な食事管理を続けていくことは重要です。
たくさん食べていた人が適切な量に減らすということも重要ですが、栄養バランスにも気をつけて食事を摂るようにしましょう。厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、エネルギー摂取量に占める三大栄養素のバランスの目標を次のように設定しています。
栄養素 | 18~49歳における目標量 |
---|---|
炭水化物 | 50~65% |
脂質 | 20~30% |
たんぱく質 | 13~20% |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より表作成
アルコールを控える
アルコールを控えることも大切です。アルコール飲料は高カロリーなものが多く、知らず知らずのうちに過剰にカロリーを摂取してしまう可能性があります。たとえばアルコール度数が9%の缶チューハイ500mlを1本飲むと、アルコール分だけで250kcalも摂取していまいます。
飲酒量が多いと、アルコールの代謝によって脂肪などの他のエネルギーが消費されないため、太りやすくなってしまいます。またアルコールは血糖コントロールに影響し、GLP-1受容体作動薬の効き目に影響が出る可能性があるため、飲み過ぎにも注意しなければなりません。
適切な運動をする
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の効果を高めるために、適切な運動も取り入れるようにしましょう。
運動はカロリーを消費するだけでなく、筋肉をつけて基礎代謝量を増加させたり、ストレスを軽減させたりする効果が期待できます。痩せたい人はもちろん、日頃からストレスを溜め込みがちな人にもおすすめです。
ストレスを溜め込むと、コルチゾールというホルモンが分泌され、食欲を増進してしまいます。定期的な運動を心がけましょう。
セルライト対策もしておく
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行っても痩せない人の中には、セルライトが発達してしまっている人もいます。セルライトは通常の脂肪とは異なり、非常に頑固なためなかなか落ちません。
また急激に痩せると、落ちなかったセルライトの凹凸が目立ち、見た目が悪くなることもあります。日頃からマッサージや運動を行って、これ以上セルライトが発達しないように対策しておくことが大切です。
すでにセルライトが目立っている方は、ラジオ波などによるセルライトの除去を助ける施術の併用も検討してみましょう。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)のデメリット
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は夢のようなダイエット方法だと思っている人もいるかもしれません。しかし、メリットだけでなくデメリットもあるため、よく確認して検討しましょう。
副作用がある
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は、人によっては治療薬による副作用があらわれる可能性があります。
- 冷や汗
- 手の震え
- ふらつき・脱力感・だるさ
- 便秘・下痢
- 吐き気・嘔吐
- 腹痛
など
主に胃や腸に関する副作用が報告されています。医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を始めて初期の段階にあらわれやすいです。使用を続けると徐々に副作用も落ち着いてきますが、症状のあらわれ方によっては薬を変更するなどの対処が必要な場合もあります。
冷や汗や手の震え、脱力感などは低血糖の症状です。GLP-1受容体作動薬だけを使用する場合、低血糖のリスクは低いといわれていますが、こうした症状があらわれた場合は糖分を摂取する必要があります。
個人差がある
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の効果のあらわれ方には個人差があります。とくに飲み薬による治療は、個人の持つ代謝能力によって効果が左右されてしまいます。用法用量通りに使用しても、目立つ効果を感じられない人もいるでしょう。
注射による治療方法では、代謝の影響が少ないため個人差も比較的小さくなります。とはいえ、まったく個人差がないわけではありません。
米国・ペンシルベニア大学のトーマス・A・ワッデン博士たちによる調査では、BMI27以上の成人を対象にセマグルチド(GLP-1受容体作動薬の成分)を週に1回皮下投与し、食事改善や行動療法を組み合わせたところ、試験開始からおよそ1年3ヶ月(68週)後に9割近くの人が体重の5%以上減量できたとされています。一方で、15%以上減量できたのはおよそ5割でした。
保険適応外のため費用がかかる
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は、原則、保険適用外です。GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病に処方される治療薬です。医療ダイエット(GLP-1ダイエット)として治療を受ける場合は、自由診療扱いとなり全額自費になります。
費用はクリニックやGLP-1受容体作動薬の種類により異なります。およその相場は1ヶ月あたり1万~7万円です。注射による薬剤はとくに高額になる傾向があり、人によっては継続が困難になるケースもあるでしょう。
なおGLP-1受容体作動薬の中でも、ウゴービは肥満症への適応を取得しているため、肥満症の方は保険適用で処方できるケース(※)もあります。
※BMI35以上かつ合併症のリスクがあるなど、治療が必要であると判断される条件を満たす必要があります
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)に向いていない人の特徴
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は、どのような人にも向いているダイエット治療ではありません。以下に該当する人には向いていないので注意しましょう。
- 偏った食生活をしてしまう人
- 運動不足になってしまう人
- BMI18.5未満の人
偏った食生活をしてしまう人 </h3>
繰り返しになりますが、偏った食生活をしている人は医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の効果が十分に出ません。医療の力を利用しても、食生活が乱れていると摂取カロリーが消費カロリーよりも多くなり、ダイエット効果があらわれないのです。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は、あくまでも食欲を落ち着かせて胃の内容物の排出を遅らせる効果しかありません。食べたものをなかったことにする効果はないため、現時点で食べ過ぎている人は食生活の見直しが必須です。
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)をきっかけに、摂取カロリーを適正にし、バランスの良い食事を摂るようにしてみてください。
運動不足になってしまう人
運動不足が改善できない人も、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)には向いていません。ハードな運動を行う必要はありませんが、適度な運動は日頃から行うようにしてください。体を動かさなければ、カロリーはなかなか消費されません。
とくにデスクワークが多い人は体を動かす機会が少ないので、積極的に運動を取り入れましょう。まずは階段を使う、一駅前で降りて歩く、ちょっとした距離なら徒歩で移動するなど簡単なものでも構いません。
体を動かすことに慣れてきたら、軽いジョギングやウォーキング、水泳なども日課にしてみてください。日々の小さな積み重ねが、やがて大きな成果となります。
最初はあまり変化を感じられないかもしれませんが、未来の自分のためにも、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行いながら運動習慣を身につけることが大切です。
BMI18.5未満の人
日本肥満学会では、BMIが18.5未満の人を「低体重」としています。つまり、いわゆる「痩せ過ぎ」に該当する人です。日本では痩せている方でも、「もっと痩せたい」と考えてダイエットに取り組む方が少なくありません。しかし、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行うのはBMI18.5以上の人までにしましょう。
低体重の人が医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行うと、免疫機能や認知機能が低下したり、感染症にかかりやすくなったりする可能性があります。痩せ過ぎも健康によくありませんので、十分に注意しましょう。
なお脂肪冷却や脂肪溶解注射など、一部の脂肪を狙って除去する施術はBMIに関係なく受けられます。部分痩せしたい人は医師に相談してみてください。
また糖尿病がある人も、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は不向きです。GLP-1受容体作動薬はもともと糖尿病の治療薬のため、普段の治療にプラスして医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を行うと、過度に血糖値が下がる恐れがあります。
医療ダイエットに関するよくある質問
最後に、医療ダイエットでよく話題にあがる疑問や質問にお答えします。
医療ダイエットとエステの違いは?
医療ダイエットは、薬を使って食欲を抑えたり、胃の内容物の排出を遅らせたりするものです。食べ過ぎを抑えて摂取カロリーを減らし、体重が減りやすい状態を作ります。
一方でエステは、リラクゼーションを目的としており、マッサージなどを行って痩せやすい体質に導くものです。食欲を減らす効果などはありません。また薬の処方や、脂肪細胞を除去するような医療機器による治療は医療機関でしかできません。
医療ダイエットは本当に効果がありますか?
自分に合う医療ダイエットを行えば、効果が出る可能性が高いといえます。たとえば医療ダイエット(GLP-1ダイエット)は食欲を抑制して摂取カロリーを抑えるため、全体的に痩せたり、体重を減らしたりするのが得意です。一方で部分痩せをしたい、ボディラインを整えたい場合は、医療機器によって脂肪を減らす施術が向いています。
医療ダイエットには多くの種類があるため、自分の体質や脂肪の量に合わせて適切な施術を選ぶことが大切です。信頼できる医師がいるクリニックを見つけ、自分の要望や目的に適した施術を提案してもらうようにしましょう。
医療ダイエットは安全ですか?
副作用の可能性をゼロにすることはできませんが、医師の指示に従い、適切な用法用量を守っていれば、大きな副作用が出る心配は少ないといえます。
しかし先述したとおり、すでに痩せている人や特定の疾患を持つ方が医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を受けるのはリスクがあります。このような方が医療ダイエット(GLP-1ダイエット)を検討している場合は、医師と相談し、他の方法を検討しましょう。
医療ダイエットはどのぐらいの費用と期間がかかりますか?
GLP-1受容体作動薬を使用した医療ダイエットの場合、1ヶ月あたり1万~7万円ほどかかります。どの種類の薬を使うのかで費用が大きく変わるため、予算に合わせて処方してもらうとよいでしょう。
効果が出るまでの期間は、約2ヶ月から1年です。一般的なダイエットを行うのと同様に、明らかな変化を実感できるようになるまでには、少々時間がかかります。より短い時間で変化を感じたい方は、脂肪を除去する脂肪溶解注射などの施術を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
医療ダイエット(GLP-1ダイエット)で痩せない理由としては、以下のものが挙げられます。
- 食べ過ぎていたり偏った食事をしたりしている
- 運動不足の状態が続いている
- 適切な使用方法を守っていない
これらに該当する人は、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)の効果が出にくくなる可能性があります。医療ダイエット(GLP-1ダイエット)でしっかりと痩せるためには、信頼できる医師の指導や、生活習慣の改善が欠かせません。また自分のダイエットの目的に適した治療方法を選ぶことも大切です。
アステリアクリニックでは、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)でご満足いただけるよう、内服薬だけに頼らず、食事指導や医療機器による筋肉強化なども含めたトータルダイエットプランをご用意しております。また部分痩せを可能にする、脂肪溶解注射やラジオ波による施術なども可能です。
どの施術が自分に向いているかわからない方、医療ダイエット(GLP-1ダイエット)に挑戦してみたけれど痩せなかったといった方も、ぜひアステリアクリニックまでご相談ください。
アステリアクリニック院長